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最高裁判所第三小法廷 昭和24年(オ)254号 判決 1950年3月28日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人吉井晃の上告理由は末尾に添附した別紙書面記載の通りである。

論旨は自作農創設特別措置法第四条第一項の「農地の所有者の配偶者」とは内縁の妻も包含すると解すべきは勿論「農地の所有者の親族」とは農地の所有者の世帯員たる家族を意味し、世帯主たる農地所有者たる被上告人山越三次郎と事実上の血縁関係ある世帯員若くはその内縁の妻の血縁関係ある世帯員被上告人篠原ミヨを包含すると主張する。しかし親族若くは配偶者の意義は民法によつて定まつているのであつて自作農創設特別措置法中の親類及び配偶者の意義を所論の如く民法とは異つた特別の意義を有するものと解すべき何等の根拠は無く所論は全く独自の見解にすぎないから採用できない。仮りに同法における親族及び配偶者の意義を所論のように解すべきものとしても被上告人篠原ミヨが被上告人山越三次郎と血縁関係があると認むべき証拠は無いから原審において被上告人等は同法第四条第一項にいう同居の親族に当らないと判断したことは正当であつて所論のような法律の解釈を誤つたものではない。

よつて民事訴訟法第四〇一条、第九五条及第八九条により主文の通り判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

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